パナマゲイシャは、その華やかな香りと透明感のある味わいで世界的に有名です。そんな繊細な味のパナマゲイシャでは、焙煎度の違いによって風味は驚くほど変化するもの。今回は、当店でミディアムロースト・ハイロースト・シティローストの3種類の焙煎度別に味の違いを比較しながら、パナマゲイシャの魅力をさらに深堀りしていきます。

左からミディアム・ハイ・シティロースト
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パナマゲイシャで実験!お湯の温度で変わるコーヒーの味わい
実験条件と使用するコーヒー器具
まず、今回の実験に使用したコーヒー器具と条件を紹介します。検証したいお湯の温度以外の要素はなるべく統一し、お湯の温度だけを変えることで、味わいの違いを検証します。
ドリッパーは、抽出のブレを極力なくすため、コーヒーの中心にお湯を注ぎ続けるだけで最適な濃度で抽出ができるドリッパー「SIMPLIFY the Brewer」を使用します。

- 使用するコーヒー豆: パナマゲイシャ
- 挽き方: 中細挽き
- 抽出方法: SIMPLIFY the Brewerでのドリップ
- コーヒー豆の量: 10g
- 抽出時間: 各温度でおよそ2分
- 使用する湯量: 150ml(お湯の温度95℃)
また、当店スタッフによる味の比較に加えて、抽出度合いをデジタルに計測するためにR2 Extract(DiFluid)を使用します。このデバイスで、TDS(コーヒーの濃度)、EXT(収率。コーヒー豆からどのくらいの成分を抽出できたか)を計測して抽出度合いを可視化することにします。

結果:焙煎度の違いによるコーヒー味の違い
それでは、実際に異なる焙煎度のコーヒー豆で淹れたパナマゲイシャコーヒーの味わいについて比較してみましょう。

ミディアムロースト: 酸味とフローラルをしっかりと感じる、繊細な味わい
ミディアムローストでは、パナマゲイシャ特有の花のように華やかな香りと爽やかな酸味が前面に出ます。軽やかな口当たりで、豆自体のフローラルなアロマが一段と引き立ち、余韻も繊細。ゲイシャの個性的な風味をダイレクトに味わいたい方や、酸味と香りのハーモニーを楽しみたい方におすすめです。
- 酸味:強め
- コク:控えめ
- 特徴:酸味とフローラルが際立ち、繊細な余韻が続く
ハイロースト:酸味とコクの絶妙なバランス、まだフローラルを感じる
ハイローストになると、酸味の鋭さは少し穏やかになりつつも、フローラルな香りはしっかりと残ります。同時にコクやボディ感が出始め、酸味・苦味・香りのバランスが整った味わいに。フルーティな風味を感じながら、ほどよいコクも求める方にぴったりのローストです。
- 酸味:中程度
- コク:中程度
- 特徴:フローラルさを感じつつ、コクとのバランスが良い
シティロースト:コク、深み、まろやかさが際立つ、ゲイシャの風味もやや残る
シティローストは、豆の持つコクと深みが強調され、まろやかで力強いボディ感が楽しめるのが魅力。ゲイシャ特有のフルーティさや香りも控えめながら残っており、全体として厚みのある飲み口に仕上がります。コーヒー豆が持つコクを重視しつつも、ゲイシャの個性を感じたい方におすすめです。
- 酸味:控えめ
- コク:強め
- 特徴:深いコクとまろやかさがあり、重厚感のある味わい

比較表とまとめ
今回の実験では、パナマゲイシャコーヒーをミディアム・ハイ・シティローストという異なる温度で淹れてみました。以下がそれぞれの温度による味の違いです。
焙煎度 | 酸味 | コク | 主な特徴 |
---|---|---|---|
ミディアム | 強め | 弱め | すっきりクリアで、酸味が際立ちフルーティさ際立つ |
ハイ | 中程度 | 中程度 | 酸味とコクのバランスが良い |
シティ | 控えめ | 強め | コクが強調され、力強く厚みのある味わい |
まとめ・感想コメント
全体として、どのロースト度合いでもパナマゲイシャコーヒーのフルーティさや華やかな酸味はしっかりと感じられますが、ローストを深くするほどコクやボディ感が強くなり、浅めのローストほど酸味が際立つ傾向がありました。
ゲイシャの華やかさを存分に味わいたい方はミディアム、コーヒーらしいコクや重厚感が好きな方はシティ、どちらも楽しみたい方はハイがおすすめです。
好みに合わせてロースト度合いを選び、同じパナマゲイシャコーヒーでも多彩な味わいをぜひお楽しみください。
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ゲイシャコーヒーの淹れ方 希少なコーヒーの風味を引き出すコツ
唯一無二の上品な余韻
焙煎士 佐藤