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世界のコーヒー産地と各生産国の規格について

コーヒーは世界中で消費されている飲み物ですが、その原材料となるコーヒー豆は地球上の特定の地域でしか栽培されていません。この記事では、主なコーヒー産地について、その特徴と各国の規格について解説します。

国別の生産割合

まずはこちらをご覧ください。ICO(International Coffee Organization)の資料を元に、世界各国のコーヒー豆生産量の割合をグラフ化したものです。

ブラジルを筆頭に、代表的なコーヒーの産地が含まれていますが、逆にいうと世界でもこれだけの国でしか生産されていません。

コーヒーの黄金地帯:赤道周辺の国々

コーヒー豆は赤道周辺の特定の気候条件下で最もよく育ちます。いわゆる「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯には、ブラジル、コロンビア、エチオピア、ベトナム、インドネシアなど、世界でも有数のコーヒー産地が含まれています。

ちなみに、先程の生産割合を示したグラフを世界地図に当てはめてみるとこのようになります。赤道周辺の地域に限定されているのがよくわかりますね。

コーヒー豆の規格

コーヒーの規格(等級・格付けの基準)は生産国ごとに異なりますが、

  1. スクリーンサイズ(SC)
  2. 欠点豆
  3. 産地の標高

多くの生産国では、主にこの3つの要素のうちいづれかを取り入れています。

スクリーンサイズ

生豆の大きさです。ブラジル式の1/64インチを基準にしたふるいが世界の標準となっており、例えばSC18というスクリーンサイズの場合は18×1/64×25.4mm(1inch)=7.14mmとなります。SC18であれば7.14mmより大きい生豆ということになります。

欠点豆

生豆300gの中の混入物や欠陥豆の混入数量や内容に応じて評価されます。欠点豆の個数で評価する方式と、混入しているものの内容によって点数を付ける方法があります。

標高

生産国によって基準は変わりますが、一般的に標高が高い場所で生産されたコーヒーほど高く評価されます。

ちなみに、よく耳にするスペシャルティコーヒー、プレミアムコーヒーという格付けは上記に加えてカッピング(風味)で評価されます。

各国の豆の特徴

その国の土壌や天候によって、コーヒーはさまざまな風味を持っています。各国の大まかな特徴は以下の通りです。

ブラジル:世界最大のコーヒー生産国

ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、世界シェアの35%を占めています。実に世界中で生産されているコーヒーの1/3はブラジル産なんです。

その豆はコクのあるボディで、ナッツやチョコレートを思わせるフレーバーが特徴です。生産地域によって微妙な風味の違いはありますが、ブラジル産のコーヒーはそのバランスの良さが高く評価されています。また、ブラジル産コーヒーは日本ではブレンドのベースとしても広く用いられています。近年ではトレーサビリティ(生産履歴の追跡可能性)や公正取引に重点を置く生産者も増え、品質だけでなく生産過程における倫理的な面でも注目されています。

ブラジルの主な産地

  1. ミナスジェライス州
  2. サンパウロ州
  3. エスピリトサント州
  4. バイーア州

ブラジルの規格

生豆300gから欠点豆を取り出して点数をつけます。混入しているものの内容に応じて減点され、減点が11点までのもので、スクリーンサイズが17/18以上のものが最高等級の”No.2”となります。No.1は存在せず、「これは完璧なものは存在しない」という考えから生まれたそうです。

コロンビア:品質と風味の高い豆

コロンビアは高品質なアラビカ種を多く生産しており、明るい酸味とバランスの取れた風味が特徴です。寒暖差が激しい高地の中部や南部の豆には、酸味が特に際立つものが多く、スッキリしていてキレがあると評されています。

コロンビアの主な産地

  1. アンティオキア
  2. カウカ
  3. ウイラ
  4. ナリーニョ

コロンビアの規格

  1. スプレモ(supremo):スクリーンサイズ17(6.7mm)以上
  2. エクセルソ(excelso):スクリーンサイズ14(5.6)以上17未満

※エクセルソ未満のものは世界に流通せず、国内で消費されます。

グアテマラ:多様な風土と高品質

豊かな火山灰土壌に、標高が1000-1500メートルの土地が多く、コーヒー栽培に適した国。香りと酸味が特徴で、地域によってチョコレートやナッツの風味を感じられるものも。

主に小規模農家による生産が中心ではあるものの、国の経済に欠かせない産業であり、オーガニックやフェアトレードの認証を受け、生産者の権利向上に取り組んでいます。

グアテマラの主な産地

  1. アンティグア
  2. アティトラン
  3. ウエウエテナンゴ
  4. オリエンテ

グアテマラの規格

産地の高度で6等級に分類されています。日本で流通しているのは主に上位3規格です。

  1. SHB(strictly hard bean):標高1300m以上
  2. HB(hard bean):標高1200-1300m
  3. EPW(extra prime washed):標高900-1050m

エチオピア:コーヒー発祥の地

エチオピアはコーヒーの発祥地とされ、アフリカ大陸最大のコーヒー生産国です。その豆は独特の花の香りと果実のような酸味が特徴です。特に名産地シダモの中のイルガチェフというエリアで栽培されているコーヒーは独特の香りから人気を博しています。また、世界的に有名なゲイシャコーヒーの発祥の地でもあり、エチオピアでも原種に近いゲイシャが生産されています。

エチオピアの主な産地

  1. シダモ
  2. イルガチェフェ
  3. リム
  4. ハラール

エチオピアの規格

300g中の欠点豆の数によって格付けされます。

  1. G1:3個まで
  2. G2:12個まで
  3. G3:27個まで
  4. G4:45個まで

インドネシア:独特のプロセスと風味

インドネシアは世界第4位のコーヒー生産国であり、特にロブスタ種の生産において重要な役割を果たしています。インドネシアで生産されるコーヒーの90%以上はロブスタ種で、ジャワ島が主要生産地として有名です。一方、アラビカ種は生産量が約10%以下と希少ですが、インドネシア国内で20種類以上が生産されています。特にスマトラ島はインドネシアのコーヒー生産量の大部分を占めており、高品質なマンデリンコーヒーが有名です。

インドネシアの主な産地

  1. スマトラ島
  2. ジャワ島
  3. スラウェシ島

インドネシアの規格

300g中の欠点豆の数によって格付けされます。

  1. G1:11個まで
  2. G2:25個まで
  3. G3:44個まで
  4. G4:80個まで

まとめ

コーヒー豆はその産地によって独自の風味と特徴を持ちます。ブラジル、コロンビア、エチオピア、インドネシアは、世界のコーヒー産地の中でも特に重要な地域となっています。それぞれの国の特徴を理解するとこれまでと違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。