カフェやコーヒーは好きだけどいざ自分で豆から購入するとなると、何を買ったらいいかわからない、そんな方も多いのではないでしょうか。同じ品種でも産地ごとに特徴が出るのがコーヒーです。多様な選択肢から、自分にあったコーヒーを見つけるための選び方について、基本的なポイントと、特定の用途に最適な豆の選び方を紹介します。
生豆の原産国で選ぶ
コーヒー豆の風味はその原産国の気候や土壌に大きく影響されます。例えばエチオピア産のコーヒーはフローラルやシトラスのノートが特徴的で、ブラジル産のコーヒーはナッツやチョコレートのような味わいが楽しめるものが多いです。あくまで一例ですが、その原産国の代表的なコーヒー豆は市場にも広く出回っていることから、風味に関する情報も多く、イメージ通りの風味を楽しめるでしょう。自分の好みに合わせて原産国を選ぶことから始めましょう。
▼各原産国の特徴についてはこちら
世界のコーヒー産地と各生産国の規格について
コーヒーのシングル・ストレート・ブレンドとは?
ブレンドコーヒーという言葉はよく耳にすると思います。ほとんどのカフェでも、その店オリジナルのブレンドコーヒーは提供されていますよね。
シングル、ストレートは、生産地がどこまで限定されているかを示しています。
シングルはシングルオリジンと言って、生産された農園(またはごく限られた地域)が限定されていて、生産者によって、品種や精製方法が管理されたコーヒーです。専門用語でトレーサビリティと言いますが、品質管理を徹底された単一品種のコーヒーです。
ストレートは特定の産地の豆のみを使用したコーヒーです。他の産地の豆と混ざっていないため、その地域特有の風味を体験できます。有名なブルーマウンテン(ジャマイカ、ブルーマウンテン地区)やキリマンジャロ(タンザニア、キリマンジャロ地区)などは代表的なストレートコーヒーです。
焙煎度で選ぶ
焙煎度はコーヒーの味わいに大きな影響を与えます。浅煎りは酸味が強調され、そのコーヒー豆本来の風味が保たれることが多いです。深煎りは苦味が強く、焙煎による風味が前面に出ます。自分が好む味わいに合わせて、焙煎度合いを選びましょう。
シナモンロースト(Cinnamon roast) 豆の色はその名の通りシナモン色。この段階ではまだ生豆の匂いが残り、あまり飲用には使用されませんが、一部の酸味が特徴的なコーヒーにおいては好まれる焙煎度です。 |
|
ミディアムロースト(Medium roast) コーヒーらしい香ばしさと、まろやかな酸味、苦味はわずかに感じられる程度。フローラルなフレーバーのコーヒーにおすすめの焙煎度。ドリップコーヒーにおすすめ。 |
|
ハイロースト(High roast) 酸味を残しつつ、苦味と甘味を感じる焙煎。バランスが取れた風味で、初めてのスペシャルティコーヒーにおすすめの焙煎度です。 |
|
シティロースト(City roast) 酸味と苦味のバランスのとれた焙煎。フルーティな風味に加え、カラメルの様な甘味を感じられる。 |
|
フルシティロースト(Full city roast) 豆の表面にオイルが見え始める。甘味を残しつつも苦味やコクを強く感じられる焙煎。ドリップのほか、エスプレッソにも適した焙煎度。 |
|
フレンチロースト(French roast) 全体的にオイルに覆われ、色は濃い茶色から黒に近いです。苦味が強く、焙煎されたナッツのような風味があります。ミルクとの相性が良いので、カフェラテやカプチーノにおすすめ。 |
|
イタリアンロースト(Italian roast) 本場イタリアで飲まれるエスプレッソやカプチーノに適した焙煎。非常に苦味が強く、日本ではあまり一般的ではない。 |
このほか、ライトローストという最も浅煎りの焙煎度も存在しますが、コーヒーとして飲用できる焙煎度ではないため割愛します。
フレーバーから選ぶ
多くのコーヒー豆専門店では、各コーヒーにフレーバーノートという、そのコーヒーの風味を別のものに例えたコメントが記載されています。
例えばキリマンジャロコーヒーは「オレンジのような柑橘系の香り」というコメントがしばしば見受けられます。
人によって感じ方が異なるため、必ずしも正確に表しているわけではありませんが、上記の様なフレーバーノートであれば少なくとも苦味よりも酸味のインパクトが強そう、といったことが想像できるのではないでしょうか。
コーヒー豆の鮮度にこだわる
コーヒー豆は焙煎後、時間とともに酸化して風味が劣化します。可能な限り新鮮な豆を選ぶことが美味しいコーヒーを淹れる上で最も重要なポイントです。焙煎から3日をピークに、2-3週間までが飲み頃です。購入時には焙煎日を確認し、開封後はできるだけ早く使用するようにしましょう。
期間内に飲みきれない分は冷凍して保存しておくのがおすすめです。
▼コーヒー豆の保存方法についてはこちら
コーヒー豆の保存方法 鮮度を保つコツと保存容器について
用途に合わせたコーヒー豆の選び方
ドリップコーヒー用
ハンドドリップで入れるコーヒーは幅広いコーヒー豆に合うため、産地、フレーバーを参考に選びましょう。
焙煎度はそのコーヒー豆ごとに適切なものを選びます。例えばフローラル、フルーティーなフレーバーが特徴のスペシャルティコーヒーであればミディアムロースト〜シティローストくらいまでがおすすめです。
ほとんどのコーヒーショップでは、コーヒー豆ごとにその店おすすめの焙煎度が設定されていますので、迷ったらまずはおすすめの焙煎度で試してみましょう。
エスプレッソ・カフェラテ・カプチーノ用
エスプレッソは濃厚な味わいが求められるため、苦味とコクが特徴的なコーヒー豆でシティロースト〜フレンチローストが適しています。ミルクとの相性も良くなるので、カフェラテ、カプチーノにもおすすめです。
水出しコーヒー用
水出しコーヒーには、苦味が少なく酸味と甘みが特徴的なコーヒー豆が適しています。ミディアムロースト〜シティローストくらいがおすすめです。ドリップでは酸味が強く出るコーヒーでも、低温でじっくり抽出する水出しコーヒーでは酸味を抑えたコーヒーを作ることができます。酸味が苦手な方にもおすすめの抽出方法です。
上級者向け:コーヒーの品種で選ぶ
慣れてきたら、コーヒー豆の品種から選んでみるのも良いかもしれません。
コーヒーは大きく分類するとアラビカ種とロブスタ種に分けられますが、それぞれさらにいくつかの種に分類されます。
有名どころはアラビカ種の中のゲイシャ種でしょうか。品種によって特有の風味があるので、品種を限定して産地違いを試してみる、というのも新しい発見ができるかもしれません。
▼コーヒー豆の品種についてはこちら
コーヒー豆の品種について 代表的な品種とその特徴を解説
購入する量に注意
コーヒー豆は新鮮なうちに使い切るのがベストです。先述の通り、大量に購入すると使い切る前に風味が落ちてしまう可能性があります。家庭での消費速度を考慮して、適量を購入しましょう。
まとめ
コーヒー豆を選ぶ際は、自分の好みの風味、焙煎度、そしてなによりも鮮度を重視して選び、用途に合わせて最適な豆を選びましょう。さまざまな原産国の豆を試しながら、自分だけのお気に入りをぜひ見つけてください。